メインフィールド「熊井の森」とは?

まわりから見た熊井の森

埼玉県比企郡鳩山町熊井地区にある里山で、約100ヘクタール(東京ドーム21個分!)ある大きなフィールドです。都心に近いのにタヌキ、イノシシ、キツネ・アナグマ等の野生生物も生息しています。東京から一番近いモミの群生林でもあります。モミは空気が良いところでしか生きられない木と言われており、空気が良い証にもなっています。

モミの巨木。あちらこちらで生えている。

現在は繁殖力の強いつる植物や笹・常緑樹が生い茂り、見渡しづらい森になっています。暗い森になることで、光を必要とする小さい植物は住みづらくなります。なので手を加えて明るい森にしていきます。

 

手を入れた場所。小さな常緑樹を切るだけで、見渡しのいい光の入る森になりました。

 

・手を入れたからこそ、人が心地よいと感じる空間を作れること。

・手が入ってこなかったからこそ、守られてきた自然があること。

この両面があります。

木こりクラブでは、熊井の森のほんの一部分だけを使って活動しています。つる植物や笹・常緑樹などを切ったのち、生態系にどのような変化があるのか、調査しながら活動を進めています。

各地を取り巻く里山の現状。

昔の里山は薪炭林(しんたんりん)として使われていました。木は薪や炭などにして利用されていました。細い枯れ枝は焚きつけの時に使われていました。広葉樹の落ち葉は腐葉土にして畑に撒くのに使いました。このように里山の木々は人の生活には欠かせないものでした。だから定期的に木を切ったり、枯れ枝を拾ったりしているものだから里山はいつも綺麗で光の入る明るい場所でした。

しかし石油が使われるようになってから、薪で火を焚く代わりに、ガスを使って調理をし、暖房は石油に変わりました。薪を燃やすより、簡単に手軽に使える燃料が出てきたからです。すると、薪のために木を切ることがなくなり、里山に人が入ることも少なくなりました。そうなると陽を浴びなくても丈夫に強く育つ常緑樹や、地下茎(根っこ)で増えていく竹や笹がどんどん生えていき、生い茂った暗い里山に変わっていくのです。暗くなると小さい植物たちには陽が当たらず、育たなくなり、いつの間にか姿を消してしまいます。

 

木こりクラブの活動の一つ「木を切ること」

木を切ることで、森が明るくなります。森が明るくなることで、小さい植物たちにも光が当たり、元気に育ちます。木を切ること=環境破壊と思われるかもしれません。海外での大量伐採・皆伐は環境破壊と言われてもおかしくありませんが、使われなくなった里山の木を切ることは環境破壊ではありません。ある程度、木を切ることで生態系が守られ、人と自然の良好な関係が築けます。

木を切ることが、生物多様性を守ることにもつながっています。

今こそ、生物多様性がある環境を維持・管理する”木こり”が必要なのです!